エタノホ2019を振り返ります!

「あっ」という間の5ヶ月間。

菜の花が咲き終わる4月中旬から急ピッチで土をつくり、息つく間もなく5月には田植え。

江田集落の春は、とにかくぎゅうぎゅう詰めな1ヶ月(笑)


主力メンバーは皆、仕事と掛け持ちで作業を行うため活動できる日は、週に1・2回ほど。


「時間がない」という言い訳は絶対したくない。

(結果、時間がなかったと振り返れるなら学びは多い)


1年1年の経験を必ず次の年に反映させること。

先の先まで作業をイメージして、時間やその時の気分を忘れることなく、天候や土の状態を一番に気にかけ作業につとめています。思い通りにいかなくても、余裕を持って丁寧に田んぼと向き合うことが大切です。


2016年から担当を任せてもらい、ようやく自分たちの”リズム”が整ってきたと思える1年だったな。そんな江田集落でのお米づくりを少しだけ振り返りたいと思います。


【準備から田植えまでの1ヶ月】

水路清掃・・・2月24日

田起こし・・・4月15日〜4月29日

ご祈祷 ・・・5月3日

水入れ ・・・5月4日

代掻き ・・・5月5日〜5月22日

田植え ・・・5月25日〜5月27日

江田集落では4月15日まで「菜の花祭り」というイベントを開催しています。

その関係で、春先に田おこしができず4月中旬からは急ピッチで田んぼの整備が進みます。


本音を言えば、昨冬から土作りをしてゆっくり準備したいけど、自分の住む集落のリズムを最優先し、今できる「お米づくり」に向き合っております。


自分たちの仕事やスケジュールを念頭に「出来る/できない」を考えること。

集落のリズムを一番に考えること(畑や田んぼを借りてる手前)

師匠から、スケジュール八分と口うるさく教えられている通り”準備”に時間を費やします。


去年の経験が、今年の準備に変わる。

これを胸にしまい、今年も怒られながら準備に時間をかけました。


【田植えから除草】

田植えはお祭り。

一生懸命準備をしてきた自分たちへのご褒美だと思ってます(笑)


そんな気持ちでみんなとワイワイ楽しく植えつけるといい気持ちでいっぱい。


僕らは1反5畝ほどなので、手植えでも2、3日あれば終わる面積です。

初めての方、何年も通ってくれる方、差し入れを届けてくれる方。

みんなのおかげで江田集落の景色が育まれていると考えると、とっても嬉しい。

ただし(笑)

のちの除草を考え、木枠定規での植えつけはかなり精密な計算のもとおこなっています。

綺麗に整えられた稲。

人の手で生み出す景色、その美しさを体感できる唯一無二の情景です。


【楽はできないけど、楽しくできる除草】

除草・・・5月28日〜6月30日まで

※7月上旬(最高分げつ期前後は、圃場に一切はいりません)

<左は2016年、右は2019年の田んぼ。同じ圃場、同じ角度、同じ時期でこれだけ違います>


無農薬栽培の大きな壁の一つが「除草」です。

僕らは、昨年度から”中野式除草機”を導入し、除草を進めています。

細かい内容は、上のpostをご参考ください。

2年間使用し、目に見えて草が減っているのがわかります。

楽して除草したいなら、除草剤が一番。

楽しく除草したいなら、方法はたくさん!ちなみに主力メンバーは音楽をかけながらリズムよく、除草機を使いその圃場は1回きりに除草で見事に草が生えませんでした(笑)

 

そして、除草でもっとも大切なのが「雑草の仕組み」を知ることです。

除草方法で、楽して除草しようと思ったらきっと毎年同じ苦労にぶち当たる気がします。


▪️ 種ってどうやって発芽するの?

▪️ 田んぼに種が溜まる原因は?

▪️ 毎年なんで雑草が生えるの?


この3点をしっかり考えれると、雑草を抑えるヒントが浮かび上がってくるでしょう。

その大きな助け舟が中野式の原理です。

僕は、この除草方法をきっかけに田んぼの仕組みを細かく考える時間をいただき

除草の仕組みをある程度理解し始めれました。


【予想外のこと】

台風10号・・・8月15日頃

台風15号・・・9月9日頃

台風17号・・・9月21日頃

毎年のことなので、予想外ではないかもしれませんが”台風”の被害が多かった一年。


上の写真のように、台風で起きた突風(竜巻)で風の道ができてしまいます。

この状態になると、倒れた稲は風のダメージで弱り、結果収穫前に刈り取りして破棄しました。年々、台風の勢力も強くなり、ある意味で”予想外”の被害が生じています。


自然災害って、本当にどうしようもない。

受け入れるのに時間がかかってしまう。

「大切に手塩かけて育てたのに…」「あの苦労はなんだったんだ…」


これを裏返すと田畑と向き合う時に「人」が主体に物事が動き考えていますよね。

本来、作物が育つ要因は”自然”の何者でもない。


そんな自然の原理や自然の怖さを受け入れることこそ、僕らが今一番必要な”余白”な気がします。

あえて”余白”という言葉を使って見ました。


今を生きる人に不足している、そして必要な”余白”を自然(災害や病気)が教えてくれてる気がします。


「お米をつくる」これ一つ考えるにも、栽培環境(地域)の選び方は本当に大切だと改めて学べる一年となりました。


【収穫】

収  穫・・・9月14日〜16日

ハザかけ・・・9月16日〜27日

脱  穀・・・9月28日

籾摺り ・・・9月29日

今後の活動(圃場拡大、オーナー制)を見据え、昨年から機械での刈り取りも始めました。(本年の稲刈り終了後に、刈り取り機を購入!!!)

もちろん、手刈りもしています。


僕らの思いとして、人の手で作業する時間をとても大切にしています。

手で植え、手で借り、手で結う。


どの時代になっても、最後は人の手、人の五感が大切になってくると信じ

僕らの活動には欠かせない時間となっています。


【この景色が見たかった(7段はぜ)】


この風景をずっと見てみたいと思い続けて8年目。

ようやく、希望に叶う風景を目の当たりにできました。

この集落では、実に20年ぶりの復活。つい最近までは、当たり前の営みとして存在していたはぜかけ。

当時は、家族総出、近所のお手伝いを経て7段や10段のはぜに干していたそうです。

その時は、みんなの手で暮らしや命を繋いでいたんでしょうね。

単に稲藁を干すだけに留まらず、当時の情景から暮らし方や生き方を思い返し学べる環境に感謝しかありません。

僕らも、今の時代に生きる一人としてみんなの手で暮らしや命を繋ぎ支え合える関係を育んでいきたいと願っています。

気持ちや労力、そして自然との対話の中で生きる糧を育む時間こそ、

農村における美しい風景の一つであると改めて感じることができました。


【最後に】

僕らの活動で一番大切なこと「活動収支」です。

上の表は今年度の支出総額を記載しています。

特に目を配ってほしい所は「レンタル」という部分。

これは、僕らが現時点で持ち合わせてない機械を師匠の力を借りている意味となります。


僕たちは、お米づくり”体験”をしたいわけでなく、”経験”を通じ”力”に変えていくことを共通理念にしています。要は、自分たちでできないこと、持ち合わせてない機械にはしっかり対価を支払い責任持って作業に努めること。


師匠と機械の貸し出しや、油代の支払いなどしっかり話し合いをして確認してからお米をつくり自分たちが1年間食べる分を確保しています。


江田というフィールドじゃなくなっても、この流れを経験しておけば大凡の米づくりはイメージできるはずです。機械も身の丈にあったサイズを使う、苗立ても同じ。

自分の手で動かせることや、目を見張り管理できることの積み重ねこそ、本当の経験になってくるはずです。


今年は25000円/人の出費で一人60kg弱のお米を確保しています。

高い安いで判断せず、自分たちが”学びたい”と思っている時間に払ったお金。


そして、”機械貸してあげる””お金はいらない”という甘い言葉に惑わされることなく

しっかりと責任を持って活動する時間を積み重ねていきたいと思っています。


学びと達成感をこの支出からどう満足し得るか


僕ら自身も、暮らしと米づくりのバランスをもう少し密接にして行きながら

経験を増やし、変わらず仲間と楽しんでいきたいです。

エタノホ

エタノホ/くらしを耕す 「棚田とくらしがつながる」 日々、暮らしの積み重ねが棚田の風景を育む 江田で1組の夫婦と出会い学んだ大切な視点です。 美しい風景を守る上で私たちは ”この場所で暮らし、田を耕す”ことを選択しました。 お米づくりを中心とした農ある暮らしを実践し 未来に伝えたい棚田の風景を育んでいます。

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